genpatuここ数日、『浜岡原発稼働停止』というキーワードが踊っています。

停止したい理由は理解できます。
確かに断層真上にある原発は危険度が高いでしょう。
だが、全体が地震国である日本においては断層の上だから危険度は高い…という理論はあまり意味がないように思う。
事実、福島原発はどうなった?
地震が起きてきちんと炉心は緊急停止しているよね?
と言うことは、地震そのものよりも津波という付帯的事象によって事故が起きているわけだよね?
そういう観点で見たら日本の原発はほとんどが海沿いにあるのだから、危険度はどれも同じだと思う。
実際に、地震そのものによる原子炉の損壊という点では耐震構造工学でかなりのモノには耐えられるように作られているし、炉心の緊急停止プロセスはきちんと動作していることは証明されているのだし。
問題なのは地震によって引き起こされるであろう付帯的事象に対するリスク評価があまりにもいい加減で過小評価にしかなっていなかったと言うこと。
実際、福島では過去には今回以上の規模の津波は何度か発生しているという歴史が残されているのにもかかわらず10メートル未満の津波しか想定されていない。
大事なことは、一度暴走すると『非常に危険なモノ』になるというのが判っている代物なのだから、これでもかこれでもかと言うぐらいの何重もの対策というのが、それに対する安全・信頼を提供できるモノだという意識を持つことなのではないかと思う。
だからこそ、エリート構造で高額な所得を得ることしか『脳みそ』のない官僚崩れを受け入れているような民間企業には任してはいけないんだと思う。
それこそ、高額な所得を配るような余裕があるのなら、その分をこういったリスクにつぎ込むべきではないのかな?
おいらはそう思うがね。

そして、やっぱり熟慮の末の『思いつき』としか言いようのない菅総理大臣のお言葉。
石原東京都知事も、自身の主義と思いつきからしばしば『失言・暴言・妄言』が多いが、知事はきちんと物事を考えている部分も見受けられるので、『必要悪』と割り切れる。
しかし、菅総理大臣にはそういった部分はまるっきり感じない、いや、感じられない。
今回の話にしても、『危険度が高いからとりあえず停止しましょう』というのは理解は出来る。
が、ではその分の代替措置は?
冒頭でも書いたが、断層の上にあるから危険だというのは地震国においては極端にそこだけ危険だという理由にはならない。
そもそも、地震は断層の上だけで発生するモノではないし、今問題なのは『地震そのもの』よりも『地震による付帯的事象』である『津波』に対する対策があまりにもお粗末だと言うこと。
『地震』そのものが問題なのだとすると、それこそ『浜岡原発』だけではない。
断層の上の浜岡原発は危険だが高くて、断層の近くにある『柏崎刈羽原発』は危険度が低いという理論もおかしなモノではないかね?
地震というモノは断層上でしか発生しないモノではないはずで、断層と言うことで言うのなら、断層に近い『柏崎刈羽原発』だって同じレベルでとらえるべきではないのかね?
東海沖地震を想定してのこと?
では、今回の地震の三陸沖が震源だったにもかかわらず、中越地震の時と同じような地域でM6クラスの地震が起きているのはタダの偶然で本当に片付けられると本気で思っているかね?
日本は、いくつかのプレートの境界にまたがって存在しているのだから、一つのプレートで大きな変動があれば、必ず影響を受けるプレートは存在する。
そう考えれば、『浜岡原発』が危ないのなら、『柏崎刈羽原発』も同レベルの危険が存在すると仮定すべきなのではないのか?
そういう意味では『浜岡原発』だけを止めろというのは短絡的すぎる気がしてならない。
首都圏に住んでおいて何だけど、浜岡原発が福島みたいになると、首都圏がやばくなる…という保身から出てきた話じゃないのかね?
という勘ぐりを抱いてしまうのはなぜなんでしょうか?
福島の原発のある周辺では原発によって経済が成り立っているのは事実。
それは、浜岡原発に限らず原発を抱える街は全部同様だと思う。
原発を停止すれば、その街から経済は破綻し、それがどんどん、周辺に波及するでしょう。
そしてそれは必ず日本中に蔓延します。
事実、今回の『自粛ムード』がいい例えです。
あっという間に日本中に広がりましたね。
経済というのはそんな気持ちの問題だけではなく、実際の価値をも伴いますから、日本中の景気がバブル崩壊後なんて比べものにならないくらいのダメージを受けることだってまんざら世迷い言ではない気がします。
そうなれば、今回の震災の復興どころか、その復興に使う費用の捻出ですら立ちゆかなくなる可能性だって、十分現実的な話です。
政府が使えるお金は債権で調達した金か、税金しか有りません。
債権は既に、買い手がないだろうくらいにまで懸念される額にまでなってきています。
そして、税金というのは打ち出の小槌ではありません。
経済が循環して初めて得られるモノです。

今しなければいけないことは『浜岡原発の停止』をさせることではなく、『原発というモノは、それだけリスクの高いモノなのだ』という認識を肝に銘じて、それに見合ったリスク評価を正しくして、その対策に奔走・尽力させることではないのかと思う。
役員連中の高額報酬なんてモノは払う余裕なんてないはず。
そして、総理大臣という立場に立つ人間は『思いつき』でモノは絶対にいってはいけないと言うことをきちんと認識すべきだし、取り巻きがきちんと認識させるべき。
リーダーシップを発揮したいのなら、『浜岡原発を停止しろ』というのなら、必ず『代替手段』の提示を伴った発言をしてもらいたい。
緊急を要するというのなら、判断をさせないくらいの即効性のある提案が出来なければ事態は悪化しかしない。
現に、既にそういう兆候は出ているわけだし。

余談ですが。
『菅直人は総理大臣を辞めさせた方がいい』
と言う話をすると、『今そんなことで政府に空白時間を作るべきではない』という反論が必ず返ってくるが、おいらはむしろ逆で『こういう時だからこそ、駄目なモノはさっさと替えてしまわないと、事態はさらに悪化するしかあり得ない』という風に考える。
正直に言うと、菅直人よりは枝野官房長官の方がよほどまっとうな気がする。
だから、総理大臣代行でいいから、緊急避難的にやらせた方がいい…と、おいらは思う。
今の日本に必要なのは石原都知事や、田中角栄のような強いリーダーシップが発揮できる奴なのだから。
まあ、少なくとも、権力闘争を未だにやっている民主党には用事はないな。
かといって、自民党を初めとする自民党派生政党にもあまり期待は出来ないし、日本はいつからこんなに『政治不毛地帯』になったのだろうか・・・。
なんぞ、先行き暗いなあ…orz