唐突ですが

おもしろいな

と、思いました。
『何が?』って言うのは是非、読んでいただくとして(をいっ)普通(って、何を普通と言うのか判りませんけど)、『魔王』と『勇者』と言えば、正義の味方と、悪の権化という間柄なんですが、この物語ではその関係をひっくり返されるような気分になります。
正義の味方というのは悪の行動に対し、それを阻止しようと行動するわけなのですが、それって、見方を変えると勇者そのものが『悪』という行動に見えてしまうと言うまさに驚天動地[ref]きょうてん どうちきやうてん―[5]【驚天動地】
〔白居易「李白墓」より。天を驚かし地を動かすの意から〕
世間を非常に驚かせること。「―の大事件」
[類語]一驚、驚き…

スーパー大辞林3.0 (C) Sanseido Co.,Ltd. 2010[/ref]の展開を垣間見せてくれます。あ、スミマセン。誇張しましたorz

魔王であるところの竜ヶ峰桜子は『人類を殲滅』するための計画を練るのだが、その計画というものが実に地味な計画ばかり。
普通、魔王のすることの悪の所行って『人々を恐怖に陥れる』とか『大量殺戮を企てる』とか、いかにもホラー映画だったり、バイオハザードだったりと、視ていて恐怖を感じてしまうような行いなんじゃないのかな…とか思うのだが、彼女の立てる計画というのはどうにもこうにも『結果として人類が滅びればいい』みたいな、何とものんきで地道な計画。
しかも、『人類殲滅』というか『人類自滅』的な。
それに対して、勇者たる光ヶ丘翼は、本能の行動として竜ヶ峰の行動を阻止しようと行動するのだが…地味な計画に対して勇者の行為はいささか過剰反応に見えてくるからあら不思議。
もうほとんど、どっちが正義でどっちが悪なのか判らないことに。

その発想はなかったわっ!

魔王なあの娘と村人A
魔王なあの娘と村人A
魔王なあの娘と村人A 幼なじみは勇者です
電撃文庫
著者 ゆうきりん
出版社 アスキー・メディア・ワークス
発行年月日 2011年5月
サイズ/ページ数 文庫版/252
価格 ¥557
ISBN 978-4-04-870513-4
概要 ここはファンタジーの登場人物を育成する学校。でも“戦士”や“魔法使い”みたいな「個性」を持った連中はごく少数。大半は“村人”程度にしかなれやしない。俺、佐東もそんな“村人”の一人なんだが、ある日“魔王”の個性を持った女の子、竜ヶ峯桜子に目をつけられちまう。小柄で大人しい良い娘なんだけど「人類滅ぼしたい」とか不意に呟くのはマジで勘弁してほしい。彼女に対抗意識を燃やす幼なじみの“勇者”の光ヶ丘翼もやっかい。こちらも超絶美少女なんだが、思い立ったら一直線の猪突猛進娘で…。板挟みの俺はどうすりゃいいんだ!?—。
おいら的評価 [rating=5]