雨の日のアイリス
いつも思うのですが…。
どうして日本人は『ロボット』に人間性を求めるのでしょうか?
まず、容姿が二足歩行タイプでしかも人間にそっくり。
人工知能も備えている。ふと思ったのは、偉大な漫画家『手塚治虫』の存在。
最初かどうかは知るところではないが少なくとも日本において『ロボット』と言えば必ず『鉄腕アトム』の名前が挙がるでしょう。
アトムは人工知能(?)を備え、子供に似せた容姿をしています。
しかし、ロボットですから人間なんて比じゃないくらいのパワーを持っているし、自力で空も飛べます。
でも、誰もがみんな知っているヒーローです。
しかも、ユーザーフレンドリーで、とっても優しい。
日本人がロボットに人間性を求めるのは『鉄腕アトム』の影響が大きいのではないのだろうか。
機械としてではなく、一つの意思を持つ生き物としてロボットをとらえているのでは?
まあ、そんな戯言は置いておくとして。
この作品はロボットの研究をしているアンブレラ博士(美しい女性)に溺愛されている家政婦ロボット『アイリス』が、突然の事故により敬愛する博士を失ってしまいます。
所有者が居なくなってしまったアイリスは法に則って処分されてしまうことに。
パーツごとに分離され以前の姿形からはまるで想像も付かないような低機能ロボットに姿を変えられてしまったアイリスは、作業ロボットとして産業廃棄物処理工場で働かせられることになった。
そこで出会った『リリス』と『ボルコフ』というロボット。
とある日、働いている廃棄物処理工場の閉鎖が近いことを知る彼女たちは、脱走を企てる。
激しい戦闘の末、彼女がたどり着いたのは街にある敬愛するアンブレラ博士によく似た天使の噴水像。
そこで息絶えた(バッテリー切れなんですけどね)彼女には、奇跡的な運命が待ち構えていた…。
ある意味、お望みの結末で終わってしまう本編ですが、ずっと引き込まれて読み終わってしまった作品でした。
雨の日のアイリス | ||
電撃文庫 | ||
著者 | 松山 剛 | |
出版社 | アスキー・メディア・ワークス | |
発行年月日 | 2011年05月 | |
サイズ/ページ数 | 文庫/299 | |
価格 | ¥620 | |
ISBN | 978-4-04-870530-1 | |
概要 | ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路から取り出したデータを再構築した情報—彼女が見、聴き、感じたことの…そして願っていたことの、全てである。第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語。 | |
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